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2023.09.15 CONTENTS

コロナ禍でデジタルシフト戦略 アフターコロナの小売(通販)・ポップアップストア・OMOストア 実店舗・イベント開催とは?

こんにちは。
THE STANDARDの友成です。
新型コロナウイルスの感染拡大をうけ社会の仕組みそのものが大きく変わろうとしています。販売・サービスを行う企業も自粛を緩和し始めています。今回のコラムでは、WITHコロナ、アフターコロナの流れの中で始まる新常態(ニューノーマル)の小売業についてお伝えします。

1.外出規制による販売機会の損失→オンライン(通販)へ販売の移行

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外出自粛を求める呼びかけが広がるなか、小売業ではEC売上が大きく伸長しています。主要アパレルブランドの3月の実績を見てみると、ユナイテッドアローズの実店舗売上は前年比の約61%だったのに対し、オンライン売上は前年比の約124%。オンワード樫山は実店舗売上が前年比約70%で、オンライン売上は前年比約145%と、いずれも実店舗の落ち込みをかろうじてカバーする形になっています。4月5月はその傾向が強まり、小売各社が一斉にオンライン販売に特化しています。
さらに〝アフターコロナ〟を予測すると、人々の価値観や消費行動が大きく変化し、オンライン販売(通販)の重要性は一層増していくと言えるでしょう。

振り返ると、主要小売各社はこれまでオンライン販売を導入しながらも、あくまで店舗の補完的な位置付けでした。それが今回の新型コロナの影響によって、図らずも大きくオンライン比率を高めることとなり、結果的にデジタルシフトを積極的に進めざるを得ない状況となってきたと言えます。しかしながら多くの小売店はまだ、実店舗での買い物の代替という位置づけとなっており、Amazonや楽天、ZOZOTOWNなどの大手通販サイトに顧客がシフトしたという現象も多く見受けられます。

コロナ禍でのD2Cの業績好調事例

また、昨今流通小売業界でよく耳にするようになったD2C(Direct to Consumer)ブランドは今回のコロナ禍のなかで業績が変わらない企業が多く、今までの小売ビジネスの延長にある企業と対照的です。

例えば、日本のアパレルブランドである「ALL YOURS」はリモートワークでも着られるウエアや、オリジナルマスクの販売など現状のニーズに合わせたスピード感のある施策を打ち出し業績は好調に推移しています。
他にもレディースアパレル「クラネ(CLANE)」は実店舗5店舗が休業中ながらオンライン販売が5倍の売上を叩き出し前年比越えとコロナ禍でも変わらず支持を集めています。

(引用1)https://www.jiji.com/jc/article?k=000000013.000029409&g=prt
(引用2)https://www.wwdjapan.com/articles/1075830

D2Cの大きな特徴は、顧客とオンラインによる密接なコミュニケーションを行い、プロダクトに対するフィードバックを得ることで、商品をアップデートすることができる「顧客共創型」のビジネスモデルですので元々のオンライン販売に加えスピード感も強みと言えます。

健康ドリンクD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)ブランドの米ダーティーレモンが展開する無人店舗には、巨大な冷蔵庫が設置されている。次世代の自動販売機とも言える

2.実店舗の閉鎖とD2Cブランドの停滞

2020-2023年のコロナ禍、アフターコロナによって中小企業の倒産が相次いでいますが、今後小売業においてもある一定の店舗の閉鎖は免れないでしょう。

コロナ禍で外出禁止になってから、米国ではJ・クルー、ニーマンマーカス、JC・ペニーが倒産の手続き、老舗百貨店ロード&テイラーは解散の方向。昨年もバーニーズニューヨーク、フォーエバー21が倒産、まだこれから小売店の倒産や解散が続くと見られます。日本でもアパレル大手、レナウンの倒産が発表されました。

コロナウイルスの外出禁止は閉店を早めたとは思いますが、欧米ではオンライン販売とデジタル社会によって消費生活が大きく変わったことで昔ながらの小売事業者が陥る事態が多発しています。日本もオリンピック需要が未知数になった今、現実に多くの小売店で淘汰が始まる可能性が高いです。

こういった状況は先ほどあげたD2Cなどの事業拡大に取り組むデジタルブランドにとっても不吉な前兆となっています。2020年はD2C企業が利益率を高める手法を模索する年になるはずでした。
その鍵となっていたのがオンライン・デジタル販売以外に確固とした足場を築くことで、そこに実店舗を展開し、それまで忌避される傾向にあった「オムニチャネル」に踏み出そうとするブランドが増えていたところだったからです。多くのD2C企業がオンライン販売から段階的な成長戦略としての実店舗販売が注目されてきましたが、この戦略をいまそのまま実施することは難しいと言えるでしょう。
(参考)https://t-standard.jp/2020/03/29/column-tomonari001/

これまで店頭販売だけだった企業が続々とECを始めるなど、コロナの影響を受け、多くの人々にとってオンライン販売は以前よりはるかに馴染みのあるものになりました。日本において小売業全体におけるオンライン販売の比率は約10%と欧米に比べて低い状況は今回のコロナ禍によってかなり上昇する事は間違いなさそうです。

ただし、オンラインが如何に身近になってもオフライン(つまりは実店舗)を超えることはなく、店舗販売とオンライン販売を社会のニーズに合わせて組み合わせていくことが今後の小売業界に必要になってくるでしょう。

・コロナ禍中 → オンラインへの急激な移行、販売の一択化
・アフターコロナ → オンラインとオフライン(実店舗)をニューノーマル(新常態)で組み合わせた販売形態

3.今求められるのはデジタルとリアルのベストリミックス

新型コロナ感染リスクによる外出規制が続く一方で、ある調査(※)では自粛において41%の人が直接会う対話を、49%の人が買い物に行くことを望んでいる結果が出ています。

(引用)https://signing.co.jp/pdf/covid19-social-impact-report.pdf

今後外出規制の緩和が起こり、人々がオフライン(実店舗)に戻ったとしても、コロナ禍以前のような状況に戻ることは無いでしょう。
なぜなら買い物には以前と違った様々な制約が付くことが予想されます。例を挙げると、

1 身体的距離の確保(ソーシャルディスタンスの徹底)
2 清掃・消毒
3 接触感染・飛沫感染の防止
4 換気の徹底
5 商品陳列等(ラッピング)
6 店舗内混雑の緩和(人数制限)
7 滞在の制約(時間制限)
8 店舗入店時の顧客に対するチェック(体温検査)
参考:【小売業の店舗における新型コロナウイルス感染症 感染拡大予防ガイドライン】
(引用)https://bit.ly/2WSl7Jd

Withコロナの状況の中ではマスク着用や手指の消毒が定着し、KEEP DISTANCEも当たり前の習慣になると言われる中、再開時の店頭でも新たな習慣を受け入れ、Withコロナに対応した店舗にアップデートすることが求められます。

そして、上記に加えて顧客の皆様に「いかに安心・安全に」店舗を楽しんで頂くかが鍵になります。店舗を運営する基準が以前より全く違ってしまうことにお気づきでしょうか?

リアルは消えない。しかし大切なのは「仕組み」

リアルな「場」に必要なデジタル

アフターコロナ後の実店舗で「安心・安全」を付加できるデジタルが今注目されています。弊社で社会ニーズに合わせた様々なご提案が可能です。

店舗デジタルソリューション

スタッフとお客様の必要のない接触を避け、お客様のニーズに合わせたオンライン接客やPRが可能となるシステム。コミュニケーションが一番必要な接客を対面ではなく行うことができるなど、withコロナ時代に必須となる仕組み。
(例)
■ウォークインスルー入店システム
■オンライン接客サービス(遠隔接客システム)
■コミュニケーションロボットによる商品レコメンド
■AIカメラによる来店者分析、従業員管理 など
(弊社サイト詳細→)https://t-standard.jp/project_post/digital-solution/

実例サンプルA:接触ゼロに「空中タッチパネル」

②キャッシュレス化

店舗において「現金の受け渡し」は明らかに感染リスクを伴います。
しかし、キャッシュレス決済なら、接触の回数を極力減らすことができます。
中でも、PayPayやLINE Payなどのスマートフォン(スマホ)決済サービスなら、お客様以外が触らないので安心です。マネー(ICカード)もタッチするだけで決済でき、接触の可能性は低いことからキャッシュレス化は今後一気に進む可能性があります。

③「スマホペイ」など多様な決済手段

最新コンビニエンスストアでも導入されている、店内のどこからでも自身のスマートフォンで決済が可能となる「スマホペイ」。
スマホでのツールを利用すると入店から退店までの時間が混雑時で約1分と大幅に減り、レジで決済をする場合に比べ、約4分の1に短縮されたとのこと。
また、自動認識の技術を発展させて、今後は商品に貼りつけられた電子タグを読み取り、専用のゲートを通過するだけで、スマートフォンにインストールされたアプリと連動して自動的に決済を行うことまで可能です。
導入前の店舗スタッフの1日の業務内容を分析したところ、レジの対応は業務全体の約25%に当たることが判明。レジ対応の負担が減ることで、いっそう顧客に寄り添った接客が可能となることが期待できます。
(引用)https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/18/intel0529/vol9/

実例サンプルB:JR高輪ゲートウェイ駅の無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」 

④非日常・感動体験(リアルの行方)

上記のデジタルソリューションは主に効率化と安全を考慮して実施されますが、やはり店舗では「現場でしか味わえない」体験をデジタルを駆使して組み込むことも必要になります。
オンラインが身近になることで、自分の時間を使ってするリアル体験が今後限られたものになっていくでしょう。リアル体験が本当に難しく、ラグジュアリーなものになっていくと考えられます。どこのお店に行こうではなくて、ここに行こう、こんなサービスなら受けてみたい、こんなリアル体験をしてみたいという意欲がないとリアル店舗の需要がなくなっていく可能性があります。
これまではリアルかオンラインを自由に選べた時代から、リアルを選択することのハードルが上がるために、より一層の「ここにしかない体験」が必要になると言えます。
(例)
■VR機器を使ったコーディネート・スタイリング提案
■貸切・時間指定・人数限定・内容守秘の上で設定する「リアルイベント」など

弊社事例:PRIME MOMENT Bar in MAGNET by SHIBUYA109 屋上「MAG’s PARK」
「完全予約制の”絶景バー”」を「極上の瞬間を、極上のジントニックで」をテーマに渋谷の商業施設「MAGNET by SHIBUYA109」の展望台で開催。今後はこのような密や行列にならない、極上の体験イベントが増えそうである。

実例サンプルC:オンライン上で行われた「オンラインサウナバザール」

4.アフターコロナの小売・ポップアップストア、OMOストアとは

さて、長々とコロナ禍においての小売店舗の実態と今後の課題について述べてきましたが、やはりこの大変な事態においても業績を残すことができている小売店とは「ブランドでバズらせてやろう」「売上を取ろう」というよりも完全に顧客目線で立って考えた施策を何よりもスピード感を持って実行している企業だと思います。

もっと言うのなら、リアルを超えたデジタルでのコミュニケーションを行うと言うことです。今までのリアルが戻らないことを前提として、企業が顧客とコミュニケーションをしようとする姿勢、これがSNS時代の小売業に必要な部分と言えるでしょう。

先に挙げたD2Cブランドなんかは正にその典型と言えます。

こういう非常時の対応の仕方に、本当に自分たちの顧客の事が分かっているのか、どういうことをすれば顧客にストレスなく来店をしてもらえるのかということを、今の状況だからこそ一回立ち止まって小売業は考える必要があると思います。自戒の面を込めて、この対策の違いで、きっと10年先も顧客に愛されるお店になるか、それともこの状況に飲み込まれていくかの分かれ道になるんじゃないかと思います。

これまでデジタルと無縁だった小売業界でも、近年ではIoTの導入によって店舗と顧客の両方にとって魅力的な変化を起こしつつあります。今回のコロナ禍は「安心・安全」の部分で飛躍的に市民権を得ることになると思います。デジタルを駆使して情報を収集、共有し合うことで管理の効率を高め、より顧客志向を実現し、良質な顧客満足を実現することが出来ます。

弊社では創業以来多くの数多くのポップアップストア ・フラッグシップストアの企画・プロデュースを行って参りました。新型コロナウイルスの感染拡大、そしてその後の実社会でのポップアップストアについても来店者に「安心」「安全」「確信」の確保をクライアントの皆様に提案させて頂きます。

安全の確信性が持てず、情報の不信感の中では、心理的にも消費行動の範囲は狭くなります。今後一年、人々の移動範囲は縮小するはずです。

今後商圏は小さくなり、インバウンドに依存せず、これまでの購入者、利用者を対象に設定し、リピート率を高めていくことが大切になります。

重要なのは顧客目線で「好き」を作り出すこと。好きな人には会いにいくし、好きなものに近づきます。また「距離が近い」ということも重要なので「身近にいる」ことと「身近にある」ことを感じさせ、いかに熱量高く取り込めるかが戦略立案のベースになります。その中でポップアップストアやイベントを企画・立案する提案はかつてない効果を発揮する可能性を秘めていると思います。

この状況下だからこそのポップアップストアやデジタルソリューションについてお問い合わせは随時承っております。弊社ではポップアップストアに関する相談会も行なっておりますのでこちらへのご参加もご検討くださいませ。

ポップアップストア相談会・勉強会

Takayoshi Tomonari

プロデューサー

■経歴 株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーションのアルバイトからキャリアをスタートし、 店長、エリアマネージャーを経験後に子会社に出向し営業本部にて新規出店業務に従事。 国内・海外含め合計100店舗以上の出店を担当、その後新規事業立ち上げの責任者として 「日本のものづくり」をテーマにした新ブランドの立ち上げを担当し、 ブランドストーリーの作成やローンチに纏わる。 その後、ヴィレッジヴァンガード営業本部にて全国200箇所を越えるポップアップストアを立ち上げ、出店・運営業務に従事。 2023年よりTHE・STANDARDに参画。 プロデューサーとしてポップアップストア の企画、運営に携わる。

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