注目すべき、近年のフラッグシップストア(旗艦店/FLAGSHIPSTORE)の企画とOMO戦略

ちょうど、THE・ STANDARDを創業してもうすぐ約7年が過ぎようとしてます。
この7年間、数多くのフラッグシップストア(旗艦店/FLAGSHIPSTORE)の企画とOMO戦略、OMO戦略を企画段階からプロデュースを任せていただきました。弊社では、多くのストアのOMO戦略を「ユニークリテール」と位置づけ、今後のオンライン・オフラインを超えた、お客さまとブランドとのエンゲージメントを高める新しいスタイル、話題になるようなユニークコンテンツになるように意識して、企画/プロデュースしておりました。
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さて、毎年平均大小入れると40-50プロジェクト前後のポップアップショップ やフラッグシップショップの企画運営に携わらせて頂いた経験を生かし、フラッグシップストア、OMO市場の傾向をまとめてみたいと思います。
注目すべき、近年のフラッグシップストアの現状と傾向
SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE
「ヤーマン」 フラッグシップストア『YA-MAN the store GINZA』銀座
フェンダー初の旗艦店「FENDER FLAGSHIP TOKYO」
フラッグシップストアの目的種類
フラッグシップストアは、目的によって、取るべき手法やその立地の見せ方などが異なります。たとえば、メディア露出やSNSでの拡散を狙ったブランディング目的、そして、未来に向けたテストマーケティングや体験による販売促進を狙った販売目的の3つに分けられます。具体的には以下でご紹介します。
目的 1 : 未来PRブランディング
テレビやWebメディアで取り上げされているフラッグシップストアとしてこの近年増えているものは、この未来PR目的のポップアップストアです。そのブランドが体現したい未来ビジョンを実現するための未来見本的なテストマーケティングであることが多いです。東京都内でも通行量が多い表参道・原宿や渋谷、新宿に出店をおこない、開店時にはPRイベントと併用することで、マスメディアでの露出、さらに通行量の多さを活かしたSNS拡散・通販サイトへの誘導を狙うものです。
未来PRブランディング目的のフラッグシップストアのポイント
1. 表参道や渋谷、銀座などの通行量が多い場所での出店が基本
2. そのブランドが体現したい未来ビジョンを実現するための未来見本的なテストマーケティング
3. テレビやWebメディア向けPRイベントを開催する場合もあり、営業後も継続的なメディア露出を試みる
4. SNS発信、SNS拡散を意識したストック型のコンテンツづくりが必要
目的 2 : ブランディング目的
現状の商品ラインナップや新商品などのブランディング目的のフラッグシップストアのポイント
1. 表参道や渋谷、銀座、二子玉川、秋葉原などのターゲットイメージに合わせ、通行量が多い場所での出店が基本。
2. テレビやWebメディア向けPRイベントを開催する場合もあり、営業後も継続的なメディア露出を試みる
3. ターゲットに向けたSNS発信、SNS拡散を意識した企画づくりが必要
目的 3 : 販売目的
販売目的のフラッグシップストアのポイント
1. 表参道や渋谷、銀座などの通行量が多い場所での出店が基本としつつ、有楽町、新橋、川崎なども多い
また、 ブランド構築を主目的としながらも、売上利益も獲得すべく、国内外観光客が多く訪問するエリア(秋葉原、浅草、有楽町など)にも、一等地から少し外れた場所での出店や2階や地下などのテナント枠も求められる場合もある。
中長期に存続できるように、店舗による売上利益を回収できるような物件の考え方、ビジネスモデルにて、費用対効果を求めることが多い。国内外の地方自治体が主催となるアンテナショップなどはここに属することが多い。
このように、感動体験や驚きを提供する、オフラインとオンラインを統合(OMO)するフラッグシップストア提唱や実験的な試みは、国内外ですでに始まっており、その試みの意図が当事者でないと理解できないようなユニークで新しい施策も今後増えてくると予想してます。
ユニークリテール(フラッグシップストア)の事例
ECとの連動ではないですが、私が近年、注目したユニークリテールは以下である。
自動車ディーラーのユニークリテール
LEXUS MEETS… (レクサスミーツ)
ブティック × カフェ × 車両展示 × 試乗
新たなブランド体験型施設「LEXUS MEETS…(レクサス ミーツ)」を東京ミッドタウン日比谷で3月にオープン。
「LEXUS MEETS…」は、LEXUSに「出会う、触れる、乗る」をテーマに、全てのお客様が気軽に訪れることができ、LEXUS車の魅力とブランドの世界観を様々なかたちで体験することで、LEXUSをより身近に感じていただくことを目的とした施設。
「LEXUS MEETS…」のユニークリテール
1)ブティック&ギャラリー「STEER AND RING」
2)コンセプトカフェ「THE SPINDLE」
3)試乗体験プログラム「TOUCH AND DRIVE」
Mercedes me Tokyo HANEDA
レストランカフェ×ラウンジ×車両展示×物販
Mercedes me Tokyo HANEDA には、レストラン、カフェ、ラウンジの3つのスペースがあります。周辺にはメルセデス・ベンツの車両を常時展示し、イベント開催など、お客さまにメルセデス・ベンツの旬な情報を提供。
この試みは、2015年からなので先駆けで、ビジネスマンが日常的に集まる空港内に思い切って常設でつくったことを大きな進化である。
「Mercedes me Tokyo HANEDA 」のユニークリテール
1)ラウンジ
2)レストラン・カフェスペース「eggcellent BITES」「Krispy Kreme Doughnuts」
3)車両展示、物販
しろたん フレンドミュージアムのユニークリテール
グッズ物販×アミューズメント×学習塾
グッズ販売だけでなく、しろたんの世界が体験できるアミューズメント施設(対象年齢6ヶ月~8歳)を併設。ボールプール、おままごとコーナー、ベビーコーナーがあり、親子で楽しむことができる。
この施設が新しいのは、これだけではございません。
しろたんと一緒の「学習塾」が店舗内に史上初オープン!よって、店に来店する動機が遊ぶでなく、商品を買うでもなく、「学ぶ」ためにしかも定期的に通う理由づくり。
「しろたん フレンドミュージアム 」のユニークリテール
1)学習塾→定期的に通うきっかけづくり、幼少期からのファン育成
2)アミューズメントスペース「ボールプール、おままごとコーナー」
3)グッズ物販
ポケモンカードステーション
物販×バトルカードステーション 毎日戦える物販店舗
ポケモンカードステーションとは、ポケモンカードゲームを気軽に楽しむことができる常設型スペース。バトルをしたい人、商品が欲しい人、ルールが知りたい人…、いつ遊びに行ってもポケモンカードゲームを快適に楽しめる空間。
近所に住んでいるポケモンカードファンは「毎日通ってまうわ」という感じでしょうw
「ポケモンカードステーション 」のユニークリテール
1)毎日カードイベントが開催
2)ポケモンカードコンシェルジュ
3)ポケモンカード/グッズ物販
北海道日本ハムファイターズ(日ハム) FIGHTERS DINING ROSTER
空港発!「地域創生」をテーマとしたプロスポーツチームの飲食ニューリテール事業
旬の道産食材をメインに提供するファストカジュアルダイニング。
旬の食材をふんだんに使い、選べるデリスタイルのプレートをはじめ、選手とのコラボレーションメニューや、多様なドリンクメニュー。朝はクイックに、昼は選んで楽しく美味しく、夜は仲間とともにスポーツ観戦など、それぞれの時間帯に合わせた楽しみ方を提供。
「FIGHTERS DINING ROSTER 」のユニークリテール
1)選手と道産食材とのWコラボメニュー
2)空港内につくることで、北海道外の方にも気軽に利用できるコンタクトポイント
3)チームのファン以外も楽しめる安らげる店舗設計
まとめ
フラッグシップストア予測
オンラインとオフラインのリテールブランディングやコンテンツ、その改善を同時に同じメンバーで考え、執行する。
そして、実店舗のプロデューサーや店長、スタッフが、ECサイトのコンテンツや改善を考え、SNS発信をすることがもっと当たり前になるでしょう。(当たり前ですが、案外やれていないと聞きます)
引き続き、ユニークリテールの新パターンがもっと増える
・例、アミューズメント×学習塾のようなエンタメ要素と実用要素 が同時にあるニューリテール(リアルショップ&EC)
・例、ファン応援型の競合商品同士のVS出店(リアルショップ&EC)
・例、(カフェだけでなく)昼寝やサウナ、 DIYもできる健康美容物販店舗
のようなパターンが増え、「集客装置=お金払ってでも参加したい話題コンテンツ」となり、来店/アクセス動機の多様化がますます進むと考えられます。
2025-2030年出店ラッシュで、東京の街がさらに、ニューリテール/フラッグシップストアの見本市に!
銀座、表参道、渋谷、お台場、有明などの街周辺に、新しい見たことないパターンのリテールがたくさんでき、それがECやアナリティクス目線でみてもKPIが回収できている。
自社ECで利益率高い、化粧品やヘアケア・ヘルスケア商材は、特にユニークリテールにチャレンジしやすい。ユニークリテール展開でも、「リアルショップ→ECへの誘導」「EC→リアルショップへ誘導」リピート転換を履歴などをみながらトライ&トライできる。基本的に、リピーターをつくることが共通目的であることが多いので、「購買ポイントはオフラインかオンラインでもどちらでもかまわない」という思想がより作り手にも浸透していくことでしょう。
創業以来、弊社ではポップアップストアのみならず、アンテナショップ、フラッグシップストアの企画プロデュースにも引き続き注力していきます。オフラインかオンラインにとられずに、2030年に向けて、世界への情報発信できるニューリテール/ユニークリテールを多く企画プロデュースしていきたいと思います。
そして、「新時代のスタンダードをつくり続けたい」

吉田宗平SHUHEI YOSHIDA
代表取締役
「ポップアップストア」「フラッグシップストア」のコンセプト開発、コンテンツ・フード開発、空間/施工デザイン、PR・プロモーション、各種申請代行、運営まで全領域をワンストップで手掛けるポップアップストア専門プロデュース会社、株式会社THE・STANDARDを2017年に設立。グループ会社の株式会社WORKING FOODIEは2023年設立。親会社の株式会社THE・STANDARDホールディングスを2023年に設立。
さらに、大手飲食品ブランドや官公庁、映画、レンタルストアのPR、エクスペリエンスイベント、国際スポーツイベントのホスピタリティ空間体験/ケータリングの設計などに数多くのコミュニケーションプロデュースに従事。
バブルサッカー、ビリッカー、PLAY+の発起人。宣伝会議/SC講座定例講師/富山出身。
乃村工藝社対談企画 nomlog MEETS→空想を形にする。新業態店舗づくりと仕事の思考術
https://www.nomlog.nomurakougei.co.jp/article/detail/214/
SPACE MEDIA/ポップアップストアとは『総合格闘技』である
https://space-media.jp/news/detail/2411/